SDGsの取組みと世の中の温度

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SDGsがはじまったのは2015年9月。
あれから9年が経とうとしていますがSDGsという言葉自体は浸透したのではないでしょうか?
とは言え、まだまだよく分かんないという方も実は多いと感じませんか?

私は仕事がら業界問わず様々な企業へ訪問しますが、
その中で「うちもSDGs取り組んでますよ!」なんて話を耳にします。
どんな事に取り組んでいるんです?と聞くと、
ベルマークを集めています!とか、地域の清掃活動に参加しているという答えが返ってきたりします。

ん?えっと・・・その取り組み自体は決して悪いことではないのですが・・・。
「え~っと・・・SDGsってどういう事か説明できますか?」と聞くと、
「え?世の中の困っている人の為に何かやること?」と返ってくる。
これも全く違うわけではないので何とも言いにくい。

大きく違うのは「事業を通して」

ボランティアと混同してしまっている方も多いようですが、
企業の取り組むSDGsとボランティアとの大きな違いは「事業を通して」という点。

事業とはまったく違うことをわざわざ取り組まないといけない、
そうなると時間や費用などが別途必要になってくる。
これでは継続性に欠けますよね。
だからこそ事業を通して。
分かりやすいところで言えば、住宅系の会社が節水型のトイレを沢山営業して設置すれば
その地域全体の節水につながる。というようなこと。
単純に営業活動がんばって会社が儲かる。
お客様も喜ぶ。よかったね!ではなくて、
その会社が儲かる分、同時に社会にも良いことが起こっている。
その会社の事業が社会の様々な課題の解決につながっている、
そういう点が根本的にボランティアとは違う点。

昨今ではビールメーカーがストロング系のお酒の販売中止を発表しています。
アルコール7%、9%といったストロング系のお酒はとても人気が高いそうですが、
健康へのダメージも大きいそうです。
ですから、いくら人気で会社の売り上げに貢献している商品でも、
消費者の健康を侵すのであればそれは企業の責任として販売をやめる。
そういう考え方です。

ただただ会社が儲かればよい!というのは許されない時代になった。
そういう事だと思うんです。
これが儲かる=正しい!という考えの下で育ってきた世代にはなかなか理解していただけないようです。

そしてこれが分からないと企業の採用活動や定着にも影響してきます。

以前、スーパーで小学校低学年くらいの女の子、幼稚園くらいの男の子、そのお母さん(30代半ばくらい)そしておばあちゃん(60代前半くらい)が買い物している光景を目にしました。

おばあちゃんが孫に「いつもの牛乳とってきてくれる?」と声をかける。
子ども達は売り場に駆け寄り一番手前の牛乳を手にしたとき、おばあちゃんが
「ダメよ!こういうのは一番後ろからとるのよ!」と。

その時、女の子が言いました。
「そういう自分だけ良ければ良いという考えはダメだよ。先生がそう言っていたよ」
と返しました。
女の子のド正論の意見におばあちゃんは「・・・えっ・・・」と戸惑う中、
お母さんがひと言「時代が違うのよ」。

小学校低学年でありながら消費期限の長い商品を選んで買う行為は
自分が良ければスーパーや生産者、他の客のことを考えない自分勝手な行動であるという認識を持っている、ということですよね。
この一度で少女がおばあちゃんを嫌いになることはないと思いますが、
もし同じようなことが何度も続けば彼女の中では「自分のおばあちゃんは自分さえ良ければ他人のことはどうでもいい自分勝手人間」と認識されかねない。
そして、そのやり取りを見ていた更に幼い弟はどう感じたのか。

今や小学校でも当たり前にSDGsを教えています。
小さなころからこの考えを教わっていれば、自然とその価値観で物事を見るようになります。

もうSDGsがスタートして9年ですから、スタートした頃に学生であり、この価値観で過ごしてきた世代は社会に出てきています。

会社を選ぶとき、入社したとき社長や上司が 儲かる=正しい である。
そういう考えだったとき、まさにこの少女から見たおばあちゃんのように映るのではないでしょうか。

私は中小企業の経営者たちにその点をもっと危機感を持っていただきたいと感じます。
中小企業の経営者の中には、SDGsを取り組まないと若い子採用できないんでしょ?
なんかやっておけ!みたいなノリの方が結構多い。

でも本質的に理解されていないので、ボランティアやいい人キャンペーンみたいな感じになってしまう。
そういう上っ面ないい人感って嫌悪感持ちませんか?
そして理解していないから事業を語れば会社の利益ばかりの話になってしまう。

感度の高い人ほど、そういう違和感を見逃しません。
そして感度の高い学生はたいがいコミュニケーション力が高かったり優秀なものです。

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
マザー・テレサの有名な言葉です。

言葉や行動からその人、その会社の”思考”を感じ取ります。
消費者、社員からあなたはどのように見えていると思いますか?


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