内定辞退が話題になっています

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2024年3月26日にXにポストされた内定辞退の件が話題になっています。
何が問題なのでしょうか?

問題となっている投稿の内容は

4月入社予定だった内定者から他の会社へ入社するため、
内定をお断りするというメールが3月22日に届いたという企業の採用担当のものでした。

この件について
内定者のために準備していた研修用のテキストや航空券、ホテルなどすべてキャンセルしなければならないが時期的に間に合わない。ということよりも、
メール一通で済まされてしまったということにおける怒り、虚無感が綴られていた。

これについて反応は様々。

投稿者擁護派の内容は
・この学生の人間性に問題がある
・投稿者への同情
・イマドキ若者への身勝手さ

などが中心。
一方で学生擁護派の意見は
・企業側だってメール一通で不採用を連絡してくる状況があるのにやられるのはムカつくとか勝手
・名前を出してはいないが採用担当がXで投稿して良いのか。そういう所を察したのでは。
・大事なことだからこそ、メールで送ったのでは。
という意見が目立つ。

私も採用に関わってきたので投稿者の状況や気持ちは分かります。
どこまでフォローを熱心にしたとて、内定辞退される時はされる。
そして元気に入社したとて、GW明けに退職代行から連絡が入ることだってある。
そういうジレンマをちょっとつぶやいただけなのに、かなり叩かれてしまっていることに同情もします。

ただ、学生擁護派の意見もとても理解できてしまう。
実際私もこの投稿を見た時に、同情しつつこちら寄りの感情を持ってしまった。

確かに内定辞退のタイミングとして、メールで済まして良かったかどうかはあると思う。
やはり友達同士でも約束していたのにドタキャンとなれば、ラインで済ますだけでなく電話で謝ったほうが関係性は維持されると感じる。
もうその会社に入社しないのであれば、その後の関係性を考えることもないため
学生もメールで済ましたのかもしれない。
それであれば最近の若者はドライだという意見も分かる。
でも、実際そういうドライな感情でメールで済ましたのだろうか。

テキストでのコミュニケーションに敏感な世代

中途採用やアルバイトの募集をしていても、ドタキャンはめちゃくちゃある。
特に面接のドタキャン。
ある時期から、私は面接日時の調整や面接前日の確認メールに
”もし当日道に迷ったり、急に都合が悪くなって遅れそうなことがあれば気軽に連絡してくださいね”と入れるようにしている。
たったこれだけのことで、応募者から”お気遣いありがとうございます!”というメッセージが返ってきたり、実際に面接率が上がったりする。
面接に来た方に明確に聞いたわけではありませんが、
・気遣ってくれている印象を受け、面接へのモチベーションが上がった
・学校を出るのが少し遅れてギリギリ・・・電話するのもコワイ・・・バックレちゃおうと思うが、
 遅れても怒られなさそうだったから
・面接にいざ行くとなったら面倒になったけど、文章の印象からいい人そうだったから悪いなと思って
 ちゃんと面接に行った
という、ことを狙って書いています。

イマドキの若者の特徴に、テキストでのコミュニケーションスキルが異様に高いというのがあるそうです。
そして電話が苦手。
これは生まれた時からスマホがある世代には仕方がないことのように思います。
だから、内定辞退をした学生さんも電話でお詫びはめちゃくちゃ怖かったんじゃないかなあと。
”それでも”まずは電話で伝えるべき!と言われれば、そうかもしれませんが、
やはりその怖さは昭和世代からすればどれだけ分かってあげられるものなのか。
だから、悩んで悩んで言えなくて、いろいろ考えてメールを送ることが精いっぱいだったのかなあと。

私が今回のXの投稿から思ったことは一点。

投稿者としては内定者から入社式ぎりぎりになって一通のメールで辞退されたことの虚無感をつぶやいただけの内容でしたが、一定の人によっては雇用側と雇用される側が平等ではないことが前提である、いわばその企業(採用担当個人)の思想というか価値観を示すものとなった、ということ。

実際の言語でのコミュニケーションでもそうですが、自分が伝えたいことを相手が寸分違わず理解してくれるわけではありません。
それは自分自身のボキャブラリーや表現方法、テクニック等コミュニケーションスキルの問題もあるかもしれませんが、その日の自分の体調や気分によってもニュアンスや言葉のチョイスは変わってくると思います。
また、受け取り側の気分によって元気なときは前向きに受け取れるものの、
元気でない時はネガティブにとらえてしまうときだってある。
だから、ただただ言葉を”情報”を伝えるだけのツールとしてとらえることは非常にリスクである。

そしてSNSが発達している現代においては、テキスト上でも同じことが起こっている。
それは時代的にごく自然なように思います。
だからこそ、自分の当たり前を一旦疑う。
自分の怒りや悲しい感情に対して、なぜ自分は今この感情なのかを考える。
その中に自分の勝手な思い込みがないか、いまどきってどうなんだっけ?そう投げかけることがすごく大切であると思いました。

X投稿者さん、決して悪い方ではないと私は思います。
辞退した学生さんも選んだ会社でがんばってほしいと思います。


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